【東山魁夷展】
2018年に国立新美術館で開催されていた
生誕110年 東山魁夷展 〜生涯をたどる美しき道〜 を観ました。
静澄で深い感情をたたえた風景画の数々。
青い色を多用し、青の画家とも言われ、
木々の青、海の青の世界が、本当に美しく描かれていました。
「奈良・唐招提寺御影堂 障壁画」の襖絵が再現展示され、
東山ブルーの群青、緑青で描かれた 『山雲』『濤声』は圧巻です。
心が震えるほどの自然の美しさ、
月が照らす仄かな光、
神秘的な色使い、
静けさの中にもダイナミックな自然であったり。
『緑響く』の白い馬が小さく出現したのは、
心の平安を願う祈りであり、
偶然ではなく必然から生まれたものだそう。
『青の峡』の習作もあり、
その深い青がまた本当に吸い込まれそうに美しく、
長い間、観ていました。
展示室の最後の空間 6章『心を写す風景画』では、
晩年の作品や、絶筆となった『夕星』までが展示されていました。
『心を写す風景画』より
描くことは祈り。そこにどれだけ心がこめられるか。
信じがたいことであるが、これまでずっと自分には才能がないと思い続けていた画家は、ようやく自分が描き続けることの意味を悟り、価値を見出すことができたのだ。
70歳を越え、生み出された作品は、日本でも外国でもなく、特定の地から離れ、自らの心の中に形作られた風景を描いたものとなっており、それがためか、大きな自然の一部を切り取ったような画面の中を筆は鮮やかに、自由自在に動き、輝きを増している。