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Blue Moment

Pénétrable BBL Bleu

ヘスス・ラファエル・ソト
《Pénétrable BBL Bleu》

ルイ・ヴィトン表参道ビルの7階にある
ガラス張りのアートスペース「エスパス ルイ・ヴィトン東京」で開催されていた
ヘスス・ラファエル・ソト
《Pénétrable BBL Bleu》

1999年に制作された、ソトの集大成といわれる作品。
今回使用されているのは、医療用にも使用される青のPVC(ポリ塩化ビニル)と、それを吊るすための金属のみ。
鑑賞者が実際にブルーの空間に入り、空気感を味わう「その瞬間」に作品は完成する、のだそう。

とにかく不思議な青い世界。

さらさらと、細く青い線が揺れる。

https://style.president.jp/lifestyle/2019/0123_001138.php

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ヘスス·ラファエルソトはキネティック彫刻や大規模なインスタレーションで最もよく知られた、ベネズエラ出身のアーティストです。
1923年にシウダ·ボリバルで生まれたソトは1950年にフランスへ渡り、戦後のアバンギャルドモダニズムに傾倒し、抽象芸術界の一員となり活動しました。
1951年にサロンデレアリテ·ヌーベルに参加した他、1955年にはマルセル·デュシャン、アレクサンダー·カルダー、ヴィクトル·ヴァザルリらと共にギャルリー·ドゥニーズ·ルネでの Le Mouvement(運動)」展に関わったことが、彼の抽象芸術へのこだわりを示しています。
1960年代後半には、知覚を揺さぶるような錯覚性を特徴とするその作品群により、 キネティック·アートを牽引するアーティストとして知られるようになりました。
すべての作品を通じて純粋な抽象性、 色彩理論、そして背景と前景との間に働く力を表現しながら、ソトは一貫して、マルティブル(工業的に複数生産される作品)の問題、 そして視覚的な動きを通して空間を変容させる可能性に関心を向けてきました。彼のキャリアはいくつかの作品シリーズに特徴づけられます。
1950年代からはプレキシガラスに絵を描くことで視覚的錯覚を生み出し、その後、1963年からは《Ecritures》(筆跡)シリーズで3次元空間における身体的実験へと移行していきました。ソトの初期のキネティック·アート作品である《Vibracións》(振動)シリーズは1960年代を通じて続き、鉄線を使ったり棒を吊り下げたりして、空間に振動や音を生み出しました。
そして、有名な《Pénétrable》(浸透可能なるもの)シリーズの制作は1967年にはじまり、彼のキャリアの終盤まで
続きました。
《Pénétrable》シリーズの各作品は、没入型のインスタレーションとして制作されました。何百もの細い垂直な棒を
空間に吊り下げて作り上げた集合体から成り鑑賞者は誘い込まれ、その中を浸透していくことになります。
「知覚可能な空間の顕現」とソト自ら形容したように、彼は数多くのバージョンを生み出すなかで、音(聴覚)を含む様々な
知覚的体験を盛り込みました。
それぞれの作品の形状や色の反復によって生じる動きの 「印象」は真の視覚的錯覚に取って代わられ、その視覚的錯覚は作品の振動的·動的な衝撃を高めていきました。オブ・アートからキネティック・アートへと変遷する中で、最終的には芸術と鑑賞者との関係性をも変容させていったのです。

今回エスパス ルイ·ヴィトン東京は、フォンダシオン ルイ·ヴィトン所蔵のコレクションから、象徴的な作品である
《Pénétrable BBL Bleu》 (1999年、ed. Avila 2007年)を公開します。
展示空間を覆う(Pénétrable BBL Bleu》を前に、人はただ観るだけではなく参加を迫られます。鑑賞者は作品の中を通り抜けることで、その動的で視覚的な作用に没入することができるのです。
《Pénétrable》シリーズを通じて、ソトは、空間は空虚な場所ではないことを私たちに想い出させ、実際に素材に触れる体験によって、目に見えないものを感じとらせるのです。
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千住博展

九谷焼 故三代目徳田八十吉

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